2007年12月31日

【白衣のマーケター】年越しそばの前にSEO

今年もいよいよ終わりとなりつつあります。
当ラボにとっては医療マーケティング・オンラインマガジン「白衣のマーケター」を創刊した記念すべき年となりました。来年もますます医療界の発展のために記事を書きつづけますので、読者の皆様、何卒よろしくお願い致します。

さて今回は、改めてSEO(検索エンジン最適化)の基本をおさらいしてみたいと思います。教科書的なSEO本を購入してみても、なんとなくわかったようでわからないSEO。

あえて大胆に単純化して、5つの重要な施策を解説したいと思います。

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 (イ)SEOを考慮したホームページを制作する。
 (ロ)独自ドメイン名でサイトを運営する。
 (ハ)Yahoo!ビジネスエクスプレスに登録する。
 (ニ)外部ホームページからのリンク数を増やす。
 (ホ)院長ブログを使いサイトの更新頻度を上げる。
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◆(イ)SEOを考慮したホームページを制作する。

については、プロの世界。院長自身が制作ノウハウを身につける必要はありません。時間の無駄です。SEOが得意なホームページ制作会社に任せてしまいましょう。しかし、SEOが得意な制作会社に発注する必要があります。本当に得意かどうかの簡便な検証方法をご紹介します。

・制作会社が手がけた医療機関ホームページをYahoo!・Googleで検索。キーワードは「診療圏の地域名 + 病院(歯科の場合は歯科)(念のために主要診療科目)」。
・検索結果において1ページ目のどの順位に表示されるかどうかを確認。

もしこれで上位表示されないとしたら、そのホームページ制作会社のSEOの力量は疑わしくなってきます。最近開設したばかりのホームページであれば、SEOの効果が浸透するまで数か月かかることもありますので慎重に判断しなければなりませんが、いくつかのホームページを調べてみても上位表示が確認できないようでしたら、他のホームページ制作会社を探した方がいいです。

◆(ロ)独自ドメイン名でサイトを運営する。

必ず取得してください。プロバイダの無料レンタルスペースを間借りしている医療機関のホームページもまだまだ散見されますが、SEOとしては圧倒的に不利です。検索エンジンの評価が低くなります。もしかしたらホームページの存在さえ見つけてくれないかもしれません。

サブドメイン名を専用に割り当てられている場合はどうでしょうか。サブドメイン名とは、
http://???.example.jp/
の???の部分です。ドメイン名と同様に検索エンジンには評価されるといわれています。

◆(ハ)Yahoo!のビジネスエクスプレスに登録する。

やや唐突感があるように思われるかもしれませんが、これほど激安で効果のある方法は他にはありません。

Yahoo!ビジネスエクスプレスはYahoo!の索引サービスです。ホームページをジャンルごとに分類・整理して、閲覧者がホームページを探しやすくするためのサービスです。Yahoo!のトップページの下段に「Yahoo!カテゴリ」というサービス名で運営されています(2007年12月現在)。

Yahoo!ビジネスエクスプレスへの登録のための審査料は52,500円(税込)かかります。しかも100%審査が通るとは限りません。登録許可率は95.4%となっています(2007年7月〜9月)。

登録許可が保証されていないし、52,500円は割高ではないかと思われるでしょうが、そんなことはありません。

・登録後のランニング費用がかからない。(課金は審査時だけ)
・Yahoo!という国内屈指のアクセス数を誇る媒体に掲載できる。

などのメリットがありますが、なんといっても価値があるのは、

・Yahoo!からの外部リンクが得られることです。

後ほど
(ニ)外部ホームページからのリンク数を増やす。
でも取り上げますが、SEOにおける外部リンクの数・質は極めて重要な要素です。

質について例を挙げますと、例えばA病院とB病院があったとして、A病院のホームページは人気のあるホームページから、B病院のホームページはあまり人気のないホームページからリンクが張られているとします。この場合、Yahoo!の検索エンジンは、A病院のホームページの方がB病院のホームページよりインターネット上では価値が高いと判断します。価値が高いので検索結果においてA病院のホームページの方が上位に表示されます。

はなしをYahoo!ビジネスエクスプレスに戻します。Yahoo!ビジネスエクスプレスに登録されるということは、Yahoo!のホームページから貴院のホームページに外部リンクが張られるということを意味します。

改めて解説する必要もありませんが、Yahoo!は国内でもっとも利用されている人気ポータルサイトです。インターネット界の巨人です。その超人気サイトから貴院のホームページにリンクが張られることの価値を理解してください。

極端にいえば、Yahoo!の索引サービスであるカテゴリに貴院のホームページ案内が埋もれてしまって、カテゴリから貴院ホームページにアクセスする人がいないとしても、SEOの観点だけでYahoo!ビジネスエクスプレスは価値があるのです。初期コストだけの52,500円は本当に安いと思います。(ちなみに米Yahoo!は登録料の他に毎年利用料が課されます)

◆(ニ)外部ホームページからのリンク数を増やす。

は、地道な努力を要します。

・病院・クリニックの検索サイトに登録する。
・連携している医療機関と相互リンクを張る。

日々こつこつと外部リンクを獲得してください。塵も積もれば山となるではありませんが、貴院のホームページのSEO上の価値が少しずつ成長していきます。気がついたときには近隣の競合病院・クリニックとの間で圧倒的な差が生まれているに違いありません。

◆(ホ)院長ブログを使いサイトの更新頻度を上げる。

については、本日は長くなりましたので次回詳しくご説明したいと思います。今後医療マーケティングの分野において、当ラボが最も力を入れて行きたい分野のひとつです。

それでは最後に改めて。本年はご愛読頂き誠にありがとうございました。

来年につづく。


2007年12月23日

【白衣のマーケター】院長の朝食はあじの干物と納豆

医療マーケティングを実行し、病院・クリニックがWebサイトを公開したとしても、頻繁にコンテンツの更新をするのはたいへんです。

しかし、少しでも更新をさぼってしまうと、常連のWeb訪問者には「前に訪問したときと内容が変わっていない」とすぐにそっぽをむかれてしまいます。

とはいいましても忙しい日々の病院・クリニックの経営活動の中で、目新しい情報が湯水のごとく溢れ出てくるわけではありません。ネタを探しにいくのも骨が折れます。

何かいい方法はないでしょうか。

当ラボでは “一写真・一行・日々更新の院長ブログ” をご提案します。簡潔でもいいので院長の全人格を毎日蓄積していくコンセプトのコンテンツです。

前にも書きましたが、院長は貴院の医療サービスの化身・象徴・実態であり、院長に関するあらゆる情報が患者の関心ごとなのです。外見・性格・年齢・性別・経歴・趣味、等々。

院長が乗っている車、ごひいきのスポーツ選手、好きな芸能人、旅行のスナップショット、かわいがっているペット、俳句、空を見上げたときにおもわず見入ってしまった雲、なんでもいいのです。

一生涯のかかりつけ医を探している患者から見ると、何もかもが全人格的な深いコミュニケーションを図るための重要なファクターといえます。

朝食の写真だけでもいいと思います。散歩のときにふと気になった花だけでもいいのです。院長の生活臭が漂い、ぐっと患者との距離が縮まるはずです。

実は “一写真・一行・日々更新の院長ブログ” はかえって手間のかからない手法なのです。

一週間おき、一か月おきにコンテンツを更新する場合、朝食の写真
だけではWeb訪問者の期待を裏切ってしまいます。単なる手抜きと思われてしまいます。

毎日更新するなら少ない情報量でも許されます。それはそういったコンセプトのコンテンツとして。

“一写真・一行・日々更新の院長ブログ”は、SEO的にもページ数が増えるので効果的です。Webサイトのボリュームが多いと検索エンジンは充実しているサイトとして高い評価を与えるからです。

心理学的な観点からも有効です。患者との接触頻度が一週間ごとの更新と比べて7倍となり、ミシガン大学のスーザン・セガート博士の実験が有名ですが、ザイオン効果といって「個体間の親密さは、接触回数、接触頻度が多ければ多いほど増す」といった人間の性質があり、患者とのコミュニケーション深化に寄与します。

Webマーケティングの世界でもザイオン効果は注目されており、定期発行のメルマガや顧客との親密度の違いによりメールの内容を変えるステップメールはその定番手法です。

是非“一写真・一行・日々更新の院長ブログ”を医療マーケティングの一環で実践し、院長ブログの更新作業を楽しくかつ効果のあるものにしてください。

次回につづく。

2007年12月16日

【白衣のマーケター】Yahoo!がえこひいきするSEMツール、JWord

Webマーケティングというと、検索連動型広告やSEOによる地道な努力がすぐに思い浮かびますが、JWordという一風変わった、かつ強力なサービスがあります。
http://www.jword.jp/
JWord社の主要株主はGMOインターネットとYahoo!です。

JWordにはさまざまな機能がありますが、一番興味深いのは20以上のポータルサイトで検索結果の上位に表示される点です。Yahoo!や楽天、asahi.com、nifty、TBSなどのビックネームばかりが並んでいます。このサービスを医療マーケティングで活用しない手はありません。

試しにYahoo!にアクセスして「田中歯科医院」で検索してみてください。検索結果の1ページ目、つまりYahoo!の超一等地のしかも一番上に千葉県柏市にある「田中歯科医院」様が表示されます(2007年12月16日現在)。楽天のinfoseekでも1ページ目に表示されます。赤いJWordのマーク付きで非常に目立ちます。「木村歯科医院」様などもJWordに登録されているようです。

JWordへのキーワード登録にはもちろん利用料が必要です。

病院名・クリニック名などの固有名詞の場合は年間63,000円となっています。

一般名詞だけ、例えば「病院」「クリニック」などをキーワードとして活用するためには、最大年間2,100,000円の大金が必要のようです。
http://www.jword.jp/regist/regist_plan_price.htm?Link=SideMenu

利用料は固定料金ですので、クリックのたびに課金される検索連動型広告と比べれば予算は立てやすいといえます。

そしてキーワードは排他的に押さえることができます。1キーワード1組織です。検索連動型広告の場合は、同じキーワードをオークション形式で複数の組織が常に上位表示のために競争しなければなりませんが、JWordの場合は早い者順です。一度押さえてしまえば、固定費はかかりますが競争の心配はありません。

JWordのサービスがなぜ存在しているのか、なぜ20以上のメジャーポータルサイトで上位表示されるのか、外野からはブラックボックスなので全くわかりません。おそらくIT業界の複雑なしがらみのなか、独特のポジションを勝ち得てきたのだと思います。しかし利用する側はあまり深く考える必要はありません。

少し気になるのが、上位表示が100%確約されていない点です。いい加減といえばいい加減です。

先述の「田中歯科医院」様の場合は、固有名詞に加えて「柏市 歯科」という複合キーワードまで登録されており、Webマーケティングに積極的なのですが、「柏市歯科」の方は楽天のinfoseekでは1ページ目中ほどに表示されますが、Yahoo!では表示されません。いい加減です。

とにもかくにもJWordといったおもしろいSEMツールがありますので、貴院の医療マーケティングにおいて是非検討してみてください。

次回につづく。

2007年12月09日

【白衣のマーケター】紳士淑女とモンスターとのお付き合い

北里大学医学部で医療現場の危機管理を研究している和田耕治氏が、モンスターペイシェントを特集したテレビ番組の中で次のようなコメントをしていました。

「 『患者様』 という扱われ方が一部の患者に過剰な権利意識を与えている 」

そして「患者様」という言い方をやめて「患者さん」に呼称を戻している医療機関が増えているというのです。

質の高いサービス業を目指している企業の世界では、「お客様」が当然の呼称であり、「お客さん」はありえません。二流・場末のサービスだと消費者に思われてしまいます。ひいてはブランド力が失墜し、経営が立ち行かなくなります。

医療がサービス業であるかどうかの議論もありますが、「患者さん」に呼称を戻してモンスターペイシェント問題に対処しようという医療機関の発想に、改めて医療のサービス業としての特殊性を感じました。

一部のモンスターペイシェントのために、本当に「患者様」という呼称を廃止してしまっていいのでしょうか。

患者と医師がお互いに尊敬しあい、信頼が醸成されたコミュニケーションをとるためにも、「患者様」という呼称は必須であると当ラボでは考えます。患者を神様として扱うためにではありません。最低限のたしなみ。常識の世界です。

安易に「患者さん」に呼称を変えるだけの小手先の対処、逃げ方は、長い目で見ると病院・クリニック経営にマイナスの影響が出ると思います。

モンスターペイシェントの問題が深刻化しています。

読売新聞の調査によれば、
直近1年間に院内で暴力を受けたケースが430件、理不尽なクレームをいわれたケースが990件とのことです。

これらは氷山の一角でしょうが、医療従事者の労務管理上も解決しなければならない課題です。

マニュアルづくり、担当者の設置、警察・弁護士との連携等の基本的な危機管理はもちろんですが、今一度医療スタッフ全員の意識を総点検してみましょう。

「患者様」を「患者さん」に切り替える発想自体、患者を下に見ている考え方です。

「お客様は神様です」といった昔の日本的な流儀を提案しているのではありません。この流儀はスタッフのモチベーションを低め、ブランド戦略的にも事業戦略的にも二流三流の手法だからです。

世の中の進んだ事例を研究し、病院・クリニック経営に取り入れてはいかがでしょうか。

ホテル業界で世界トップクラスの評価を受けているホテルのひとつにザ・リッツ・カールトンがあります。

日本支社長の高野登氏が書いた
「リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間」
を見ると、リッツ・カールトンのサービスの真髄がよく解ります。

「リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間」

是非一読されることをお勧めしますが、象徴的な部分だけをご紹介しますと、

「 "紳士淑女" のお客様にサービスする自分たちスタッフも "紳士淑女" である 」

というお客様とスタッフが対等な立場を明確にしていることです。

スタッフは "紳士淑女" に見合うような自分になろうと努力します。人間性を高めるような雰囲気が備われば、サービス業としてのホスピタリティは向上します。

ザ・リッツ・カールトンにはスタッフの意識改革を行う仕掛けがあるのです。この仕掛けがいかにホテル内のモンスターの発生を抑えているかを理解する必要があります。

もともとのモンスターもいれば、普通の人をモンスターに化けさせていることもあれば、モンスターが癒されて "紳士淑女" になることもあるのです。

ザ・リッツ・カールトンの顧客戦略はお題目ではありません。ホテル業界における名声と利益という結果を手に入れています。

医療マーケティングの役割のひとつにスタッフの意識改革があります。診療圏において貴院をどのような医療機関にしたいのか、そのためにはどのような行動をスタッフにとってほしいのか、その方針を内外に情報発信することによって経営力は高まっていくのです。

医療マーケティングというと、とかく患者を意識しがちですが、自院のスタッフに向けた経営手法でもあるのです。

次回につづく。

2007年12月05日

【白衣のマーケター】大病院信仰の謎

「3時間待ちの3分診療」と揶揄されるように、大学病院などの大病院の外来患者への対応ぶりは評判が良くありません。とはいいながら、大病院の待合室には患者があふれています。この矛盾した患者の行動は何を意味しているのでしょうか。

たしかに大病院は専門科目も多く、検査機器も充実しています。医師の質についても優秀な勤務医が所属している印象です。小売業にたとえると老舗の百貨店のイメージです。

「かかりつけ医」としてのクリニックに対する患者の意識はコンビニではないでしょうか。近くて便利。ある程度の品揃え。

しかしながら、百貨店とコンビニの比較により、大病院とクリニックの役割の違いを分析・検討することは全く意味がありません。

なぜなら、クリニックはコンビニではないからです。

東京都医師会のホームページに「かかりつけ医」の解説(定義)があります。

@患者の健康相談が気軽にできる「パートナー」
A患者の症状を専門医と結びつける「仲人」
B患者の家族を健康に導く「カジとり」

「かかりつけ医」には大病院では代替できない明確な役割があるのです。川上・川下でいえば、川上に位置しています。誰よりも先に患者と向き合い、今後の治療方針を立案する医療サービスの戦略家としての役割です。

上記@ABについては、医師側から見たとき、当たり前すぎて今更その定義が正しいかどうかを議論すること自体違和感があることなのかもしれません。

一方患者の方はどうでしょうか。大病院の外来の多さの事実を考慮した場合、患者が「かかりつけ医」のことを@ABのように認識しているとは思えません。

・健康相談の「パートナー」を無視して、見ず知らずの医師にかかるでしょうか?
・近所に専門医を紹介してくれる「仲人」がいるのに、飛び込みで専門医と付き合うでしょうか? 

このような不可解な行動を患者がしている理由はただひとつ。患者は近所のクリニックを「パートナー」「仲人」「カジとり」とは認識していないのです。

2006年2月の新潟県健康福祉部の医療ニーズ調査によると、診療所外来患者の70%弱が、他の課題を抑えて、クリニックに求めるもので最も優先される課題として「医療の技術」を挙げています。

患者は近所のクリニックのことを、大病院と同じ土俵で競争している、医療技術のスペシャリストと見ているのだと思います。規模の大きい小さい、専門の幅が広い狭い、医師の質が高そう低そうといった、本来の「かかりつけ医」の役割とは関係のない評価項目において、大病院を選択している可能性が大です。

誤解があるといけませんので念のために書いときますが、クリニックの医療技術の質はどうでもいいということではありません。「かかりつけ医」という医療サービスの核の部分、つまり「パートナー」「仲人」「カジとり」という役割が、ターゲットである患者に全く理解されていないのではないかという問題提起です。

患者とクリニックの間の認識のズレを合わしていくのも医療マーケティングです。患者に「かかりつけ医」の正しい概念を認識してもらい、大病院に代替できない存在としてのクリニックに来院してもらうことが重要です。

認識のズレの解消は医療界全体の課題ともいえますが、個々のクリニックがマーケティングに取り組むことにより、その集積が患者の誤解を解消していくのだと思います。

次回につづく。