2008年03月30日

【白衣のマーケター】ネット診療圏特集(その2・ネット診療圏を理解しよう)

医療マーケティングにおけるネット上の診療圏「ネット診療圏」の考え方を今一度整理します。

患者はリアルの生活の中で、通勤・通学などの途中で医療機関の前を通りすぎたり、駅看板・電柱看板などを見たりして、その存在を知ります。

ネットが登場する前は、患者はその限られた情報と口コミとタウンページなどを駆使して医療機関を選択するしかありませんでした。もしくはあまり検討することもなく近くの病院・クリニックにかかっていた患者も多いと思います。

2005年9月の日本医師会 IT 問題検討委員会の調査において、「医療機関を選ぶ際に知りたい情報をどこから入手しますか」という質問に対する回答で「医療機関(HP)など」という回答が 24.3%ありました。2008年現在、さらにその率は伸びていることが推察されます。

ネットの登場で医療機関の選択パターンが変わりつつあります。患者はネットを使ってより幅広く・より深く医療機関に関する情報が集められるようになりました。

情報の幅についてはむしろ広すぎて困るくらいです。信頼に足る情報、怪しい情報、玉石混合の状態でネット上には情報があふれかえっています。また、患者が英語を使えれば世界中の医療機関の情報が手に入ります。

むしろ今は、いかに必要な情報を絞って適切に集められるかの方が、ネットを利用する患者側の課題となっています。検索エンジンのキーワードの選び方のセンス等、患者側のネットリテラシーが問われています。

情報の深さについては、病院・クリニックのホームページで、診療方針・医療機器の充実度・スタッフの雰囲気・院長の経歴・所在地等々を簡単に調べることができます。第三者による医療機関評価もネット上にはあります。

もちろん医療機関のパンフレットが手に入れば、ホームページと同じような情報は入手できます。しかし、複数の医療機関のパンフレットを集めて比較することはとても手間がかかります。

主なる患者のネットを使った医療機関情報の収集方法をご紹介します。

@Yahoo!・Googleなどの検索エンジンを使う。
A病院ポータルを利用する。
B口コミサイトで評判を確認する。

上記@については、患者が使うキーワードを想像しながら自院ホームページのあり方を検討する必要があります。
Aについては、より多くの病院ポータルに登録しなければなりません。
Bについては、日頃のリアルでのサービス品質向上が対策の基本となりますが、ネット上での対策もあります。

さらに当ラボがこだわっているのが、
・日本語ドメイン名の活用です。
英数字のドメイン名では期待しにくいマーケッティング・ツールとしての効用があります。

患者側の情報収集方法だけではなく、
・リアル世界が与えるネット世界への影響。
・患者が情報収集したあとのリピート率の向上方法。
などもネット診療圏を設計する際に考慮しなければなりません。

以前にもご指摘しましたが、貴院がリアルの世界で好立地の場所で開業していたとしても、上記のようなWebマーケティングを実施しない場合、貴院はネット世界では暗黒の闇の中でひっそりと佇んでいるにすぎません。

その暗闇に光を当てていかなければ、他の医療機関との競争に敗れてしまいます。

これまではリアルの診療圏だけに気を使っていればよかったのですが、これからは同じような比重でネット上の診療圏への配慮も必要です。

むしろこれからはネット上の診療圏の方が重要になってくるのではないかと当ラボでは考えております。

これからはそういう時代です。ネット診療圏をどのように設計していくか。できればネットの世界においても燦然と輝く太陽の下に立地したいものです。

次回からは、@、A、B、「日本語ドメイン名」の順番で特集記事を書いていきます。

次回につづく。

2008年03月23日

【白衣のマーケター】ネット診療圏特集(その1・はじめに)

以前ネット診療圏という概念を解説しました。医療マーケティングにおける新しい概念です。
http://blog.dr-ml.jp/article/6912900.html

貴院が開業する立地があまり良くなくても、ネット上での存在感が増していけば、競合医療機関に打ち勝つことできます。

まずは貴院のホームページのアクセス状況を100%理解できる環境を構築してください。

マーケティングの基本にPDCAサイクルがあります。Webマーケティング施策を計画(plan)し、実行(do)・評価(check)・改善(act)のプロセスを繰り返していきます。

もしアクセス状況がわからない場合、PDCAサイクルの評価(check)ができません。計画(plan)・実行(do)したとしても、Webマーケティング施策の有効性を証明することができないのです。

Google Analyticsという無料のアクセス解析ツールがあります。
http://www.google.com/analytics/ja-JP/
検索エンジンで有名なGoogleが提供しているツールなので性能は折り紙つきです。

このツールを貴院でも導入して貴院のホームページのアクセス状況を把握できるようにしてください。これからの医療マーケティングにおいては必須のツールとなります。

ネット診療圏を分析するにあたって、どのエリアからアクセスされたかを検証することは重要です。Google Analyticsを使えば、簡単にアクセス者のアクセスした場所が確認できます。

仮説を立て、Webマーケティング施策を実行し、アクセス者のエリア分布がどのように変わっていくか、PDCAサイクルが回転するごとにその変化を定点観測してください。

ネット診療圏をどのようにしていくかという経営戦略の方向性は、病院・クリニックごとに違います。

専門性を高めてエリアを拡大していくのか、実際の診療圏と同じエリアにおいて存在感を高めていくのか、Webマーケティング施策の仮説を立てる前に決める必要があります。貴院の経営ビジョンのはなしです。

今回からネット診療圏に関して何週かにわたって特集していきます。次週までに是非Google Analyticsを設定し、ある程度機能を習熟しておいてください。

次回につづく。

2008年03月16日

【白衣のマーケター】患者は風邪を直して飛行代を得る?

2006年9月、東京都のすべての都立病院でクレジット決済ができるようになっています。

電気・水道・ガス・電話・NHK・新聞など、公共料金の分野でもクレジット決済ができる領域が拡大しています。

医療マーケティングでもクレジット決済が意識されるようになってきました。貴院ではクレジット決済ができますか?

クレジットカードが単なる便利な決済手段であったのは昔のはなしです。現在では消費者にとって最も関心のあるマーケティング・ツールとなっています。

なぜか? ポイントや様々な特典がもらえるからです。

例を挙げます。マイラーという人々がいます。マイラーとは航空会社のマイルを貯めて航空チケットに交換することを常に意識している人々です。

航空会社のマイルは飛行機に乗ればもちろん貯まります。東京とヨーロッパを往復すれば、国内旅行ができるくらいのマイルが貯まります。

飛行機に乗らなくてもマイルを貯める方法があります。航空会社の関連会社が発行するクレジットカードで買い物をすると、マイルが貯まるのです。ご存じの方も多いかと思います。

JALの例でいうと、関連会社にJALカードというクレジットカード会社があります。年会費を4,200円支払えば、買い物金額1%のマイルが貯まります。

年間150万円の買い物をすれば、15,000マイルが貯まり、国内旅行ができるのです。

年間150万円というと高額のように思えますが、月13万円弱、意識してクレジット決済をすれば非現実的な額ではありません。

マイラーにとっては、クレジット決済できるかできないかが、サービスを選ぶ決定的な要因となっているのです。

医療サービスにおいては、クレジット決済に関して、マイルやポイントなど、そのマーケティング効果に関して意識されておりません。あくまでも単なる決済手段の一つとして加盟するべきか否かの検討がされています。

民間企業ではクレジット決済は当たり前です。それよりもどこのクレジット会社と提携するか、クレジット会社のポイント制度をいかに活用するかに関心が移っています。

ちなみにJALマイルの会員は全国に約2,000万人もいます。

もし貴院がクレジットカード会社と加盟店契約したら、単にクレジット決済ができることではなく、ポイントが貯まることをアピールしましょう。マイラーやポイントコレクターの心に必ず響きます。

診療圏における競合状況が厳しければ、航空会社と特約店契約を結び、マイルが2倍貯まるようにしてもいいかもしれません。

医療マーケティングとクレジット決済は無関係ではないのです。

次回につづく。

2008年03月09日

【白衣のマーケター】患者のおサイフケータイのひもをゆるませよう

3月3日から6日まで、東京ビッグサイトで開催された「IC CARD WORLD 2008」に行ってきました。
http://www.shopbiz.jp/top/index_IC.html?PID=0003&TCD=IC

今年で10回目になります。4日間の来場者数は165,117人。

私は毎年行っているのですが、ここ最近来場者の数が爆発的に増加しているように感じます。来場者の顔つきも技術者でなさそうな人が多くなってきました。

Suica(JR東日本)・PASMO(関東圏私鉄)・電子マネーのEDY・おサイフケータイ(携帯電話会社)など、ICチップを活用したビジネスが普及したからだと思います。

今回の「IC CARD WORLD 2008」では、特におサイフケータイを活用したマーケティング関連の製品・サービスが目立ちました。

おサイフケータイとは、ソニー製のICチップ「FeliCa」が携帯電話に搭載された携帯電話のことです。ドコモ・au・ソフトバンクの各携帯会社から発売されています。

小売の店頭や街ナカなどに設置された接触端末とWebサイトとおサイフケータイを連携させて、ポイント会員化、割引クーポン発行、情報発信などが行えるといった製品・サービスが多く展示されていました。

ある調査によると、2007年10月時点でおサイフケータイのユーザーは4割を超えています。
http://c-news.jp/c-web/ShowArticle.do?did=01&aid=00010757

おサイフケータイはプラスチックカードにICチップが埋め込まれたICカードに比べて次のような優位性があります。

・ICチップに後からさまざまなサービスが追加できる。
・メールやケータイサイトなど携帯電話の通信機能が使える。
・画面があるのでサービス内容が表示できる。(電子マネーの残高など)

約5年前、私はICカードに関する実験をしたことがあります。Webサイトを使ったICカード向けの電子映画チケットの販売実験です。

実験モニターは、パソコンにICカードの読み取り装置を取り付け、専用のソフトウェアをCD-ROMからパソコンにインストールし、インターネットでWebサイトにアクセスし、電子チケットをWebサイトからダウンロードできます。

ICカードにはおサイフケータイのような画面がありません。したがいまして、電子チケットをダウンロードしても本当に無事にダウンロードできたかわかりませんでした。実験なのでモニターからはクレームはありませんでしたが、商用サービスとしては欠陥サービスでした。

その当時を振り返りますと、おサイフケータイの多機能性は舌を巻くばかりです。電子マネーやクレジットで買い物ができる。電車・バスに乗れる。ポイントカードになる。等々。

皆様の病院・クリニックにおかれましても、患者がおサイフケータイを持って来院されているのではないでしょうか。

医療マーケティングへの初歩的な応用の観点から、活用できそうなおサイフケータイの機能をピックアップします。

ICチップ端末におサイフケータイを近づけると、
・ケータイサイトのURLがおサイフケータイの画面に表示される機能
・任意のメールアドレスがおサイフケータイの画面に表示される機能

これらの機能を使って、まずは、

・貴院のケータイサイトのURLのご案内
・メルマガを携帯電話向けに発行するための患者メールアドレスの収集

を検討されたらいかがしょうか。

おサイフケータイ向けの接触端末は3〜4万円でさまざまなメーカーから販売されています。10cm四方以下の小さなサイズのものからあります。電池や電源コードで動きます。

一例で、(株)インデックスのおサイフケータイを使ったCRMサービスをご紹介しときます。
http://smmo.jp/index.html

駅看板などの交通広告の分野でもおサイフケータイの活用が始まっています。ソニー製のパソコンには標準でICチップ読み取り装置が搭載されるようになってきました。ICチップに関するビジネスは今後ますます発展しそうです。

おサイフケータイと診察券・電子カルテとの連携サービスも、ごくごく近い将来には医療界のテーマとなってくるような気がします。

医療マーケティングのパイオニアとして、今のうちから、ICカード、おサイフケータイを使った患者サービスを研究されることをお勧めします。

次回につづく。